フィッシング佐藤
芸人 ち、またガキがうちに冷やかしに来やがった、窓越しに。
ガキ ばーか、お前面白くないんだよ!
芸人 (窓を開けて何も言わない)
ガキ はっはっは馬鹿だー、意味分かんねー。
芸人 いいかお前等、十数えるまでにいなくならなかったら、十秒後そこに行くからな。十・・・
ガキ やべー、あれ、声消えた、こっちに向かってるんだ。
芸人 十一。
ガキ げ、本当に来やがった。
芸人 十一で来たぞ、はっはっは。素人とプロの違いを見せてやろうか、見せてやろうか?
ガキ 本当に十一秒で来たのかよ!?
芸人 はい、今から十秒で部屋に帰るからな。反省しろよ。十・・・九・・・八・・・七(フェードアウ卜)
ガキ だから、来る時と帰るときの時間が聞こえねーんだよ。
芸人 (窓を開ける)十三。はっはっは、十三で着いちゃった。あ、まだいるな?反省したかー?
ガキ 何かこえーなフィッシング佐藤。
フィッシング佐藤 釣っちゃうぞー、釣っちゃうぞー。反省しないと、ひどい目にあうぞ。鬼に食べられるぞ。
ガキ 釣るんじゃねーのかよ。
フィッシング佐藤 学校遅れちゃうぞ、帰り道だけど。釣っちゃうぞー。
ガキ 何だよ、釣っちゃうぞって。
フィッシング佐藤 鬼に食べられるぞ。おうちのカレーを失敗させてやろーか。
ガキ こいつやっぱり気持ちわりーな。石投げるぞ、ほら。
フィッシング佐藤 直にキャッチアンドリリースしちゃうぞー。
ガキ うるせーよ、ほれ(石を投げる)。
フィッシング佐藤 おう、十秒後にリリースしに行くからな?部屋でキャッチした石をリリースするからな?
ガキ どうせまた、十二秒とかで来るんだろ。あいつ馬鹿だな。
フィッシング佐藤 十・・・九・・・八・・・七・・・(フェードアウト)
ガキ こねーじゃねーかよ。もう十秒以上経ってるぞ。
フィッシング佐藤 6・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・はいリリース。
ガキ ここに来てから、数えんなよ。それ石じゃねーじゃねーか。
フィッシング佐藤 魚の目玉だよ。
ガキ うえ、気持ちわりー。
フィッシング佐藤 食品サンプルね。本物は臭いしキッたねーから。
ガキ 食品じゃねーだろ。どこで発注したの?意味分からんわ。
フィッシング佐藤 俺は、ルアー作りの名人だった。あれから四日、俺は食品サンプルに目覚めたんだ。
ガキ しらねーよ。四日って短すぎんぞ?
フィッシング佐藤 お前等まだ懲りずにフィッシング佐藤をいじめるのか?
ガキ もう帰るよ。悪かったな。おちょくって。
フィッシング佐藤 この目玉やるよ。和解の印に。
ガキ ちょっと欲しいかも知れん。
フィッシング佐藤 やっぱやーめた。
ガキ 何でだよ?
フィッシング佐藤 傑作だから。これ傑作だから。
ガキ もう分かったから、いじめないから、部屋に戻って良いよ。
フィッシング佐藤 十数えてきっちり帰るからな、その間に悪口行ったら、食品サンプルのバイトやめて、ルアー作るからな。
ガキ 言わないから、もう行けよ!
フィッシング佐藤 十・・・九・・・八・・・(フェードアウト)
ガキ 戻る時の掛け声消えてくから、むかつくんだよな。
フィッシング佐藤 うあー!
ガキ 何だ?どうしたんだ?
フィッシング佐藤 階段で滑ったー。(遠くから聞こえる)
ガキ アホだな、本当。
フィッシング佐藤 (窓を開ける)二十三。どうだね君たち、少しは反省したかね?
ガキ 二十三って、まあしょうがないか、階段で滑ったんだから。
フィッシング佐藤 (肘の怪我を見せる)これは食品サンプルじゃないぞ?
ガキ もういいよ!バーカ!
フィッシング佐藤 ちょろいもんだなガキなんて、十秒で寝よう。